2011年7月29日金曜日

ご返信のほう、お願いします?

「~の方(ほう)」は、話し言葉として、依頼するときも使われるようになってきてます。(昨日の例は質問するときでした。)

a ご返信のほう、お願いします。
b ご都合のほう、教えてください。

昨日と同じですが、これをそのままビジネスメールで書くと、丁寧さが足りず、不快感を与えます。(依頼は丁寧に書いてください。)

この場合、修正方法は2つあります。
1 単純に「のほう」を削除してください。
a  ご返信、お願いします
b  ご都合、教えてください

2 「~の程(ほど)」に書き換え、文末もより丁寧な表現に変えてください。(丁寧さのレベルをあわせましょう。「7/22ビジネスメール」参照。)
a ご返信の程、お願いいたします
b ご都合の程、お教えください。

2011年7月28日木曜日

ご都合のほうは?

~の方(ほう)」という言い方が最近増えています。これは、丁寧に、かつ、遠慮して質問するときに使われています。(特に飲食店で多いですね)

1 おタバコのほう、吸われますか?
2 大盛りのほう、無料でサービスしますが、いかがですか?

話すときは構わないと思いますが、この言い方をビジネスメールに使ってしまうとかなり変です。単純に「のほう」を削除してください。

(誤) ご都合のほう、いかがでしょうか。
(正) ご都合、いかがでしょうか。(または、「ご都合いかがでしょうか」)

「~の方(ほう)」は話し言葉です。書く時は使いません。

2011年7月27日水曜日

経験を役立ちたい?

(誤)今までの経験を御社で役立ちたいと思います。 
(正)今までの経験を御社で役立てたいと思います。 

◇ 自動詞・他動詞の使い分け 
[道具・能力・経験]  役立つ(自動詞)   学校で習ったパソコンスキル役立った。 
[道具・能力・経験]  役立てる(他動詞)   せっかくの日本語力役立てたい。 

「~を役立てるは」面接での決め台詞として使う言葉なので、間違えると非常に目立ちます。(再掲)

2011年7月26日火曜日

日本の文化を身につきました?

自己紹介でとても多い間違い。(再掲) 

(誤) 日本の文化を身につきました。 
(正) 日本の文化を身につけました。 

◇ 自動詞と他動詞の区別

2011年7月25日月曜日

2枚があります?

何度も取りあげている話題ですが、あらためて。


(先日、会社の会議で実際にあった会話)
一か所、助詞の間違いがあります。どこでしょうか。

Aさん: すみません、資料が1枚足りないんですが。
Bさん: あ、ここに2枚がありますよ。

2011年7月22日金曜日

ご無沙汰しております。いかが過ごしていますか?

では、2番目の問題点です。

「ご無沙汰しております」+「いかが過ごしていますか」
の組み合わせは、丁寧さのレベルが合わず、読み手を不安にさせます。

「ご無沙汰しております」というあらたまった形式で書き始めたら、最後までその形式を保たないと、全体のバランスが悪くなります。具体的には、敬語を使うべきところで、きちんと使わないといけません。(あちこちのメールをCopy & Paste するとこのような結果になります。)

「丁寧さのレベルを統一する」ということが、メールではとても大事なことで、BJCの皆さんに常に気にしてほしいポイントです。これからも、少しずつ取り上げていきます。

さて、相手を気づかうあらたまった表現としては、次の言い方が一般的です。

(例1)いかがお過ごしでしょうか。
(例2)いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

厳しい暑さが続きます。
皆さま、どうぞお体に気をつけてお過ごしください。

2011年7月21日木曜日

いかが過ごしてますか。

暑い季節になりました。メールを書くとき、天気の話題から入ることもあろうかと思います。
先日も、次のように始まるメール(ビジネスメール)をもらいました。

「ご無沙汰しております。蒸し暑い日が続きますが、いかが過ごしてますか

赤字の部分に、二つの点で違和感があります。

1 メールなのに「過ごしてますか」という完全な話し言葉が使われている点です。

「~てる」の「」は、話すときは発音しないことがよくありますが、仕事のメールで省略することは絶対にありません。うっかり書き落とさないように、気をつけましょう。
(誤) 過ごしてる
(正) 過ごして

2つめの点は明日。お楽しみに!

2011年7月20日水曜日

iPad が持っている?

(誤) iPad 持っています
(正) iPad 持っています

◇ 助詞の「を」と「が」

「持つ」は「作る」と並んで、「が」の誤用が最も多い動詞です。(7/6「名刺が作る?」参照)


<人><もの>持っている。

2011年7月19日火曜日

比較的に涼しい?

(誤)今日は比較的に涼しいですね。
(正)今日は比較的涼しいですね。

◇「一般的」「世界的」など、「(漢語)+的」は、「に」をつけて副詞にできます。

(正)一般的に、都心に近ければ近いほど地価が上昇する。

◇ところが、「比較的」という言葉だけは、「に」をつけません

(正)今日は比較的、クレームの電話が少なかった。

2011年7月15日金曜日

「お楽しみに!」は間違っていません

(誤) どうぞ楽しみに!
(正) どうぞお楽しみに!

テレビ番組の最後に「来週もどうぞお楽しみに!」と呼びかけて終わることがあります。

これは間違っていません。

ただし、日常会話では使いません宣伝や広告を通じて大勢の人に「楽しみに待っていてくださいね」と呼びかける場合の決まり文句です。

火曜日の例文は、自分が「楽しみにする」ということなので、「楽しみ」という名詞に「お」をつける必要はありません。

(正) 人々に呼びかけるとき:  「どうぞ楽しみに!」
(正) 自分の気持ちを言う時:  「楽しみにしています」「楽しみにしております

2011年7月14日木曜日

なるほどですね?

(誤) なるほどですね
(正) なるほど。

「なるほどですねぇ~」という人が増えていますが、これは本来は正しくありません。

あいづちの一種である「なるほど」は、目上に対して使うとやや失礼にも聞こえるので「です」をつけたくなりますが、その場合は、
「そうなんですね‥」
「それは知りませんでした‥」
と言った方が自然です。

しかし、あまりに多く使われるので、間違いとも言えなくなってきています。

2011年7月13日水曜日

責任が増える?

(誤)昇進して給料が増えた分、責任も増えた
(正)昇進して給料が増えた分、責任も増した

◇「増える」は、はっきり数えられるものについて、「増す」は、数量化が難しいものや、抽象的なことについて使います。

(正)失業者が増えた。/体重が増えた。/仕事量が増えた。
(正)社員のやる気が増した。/信用が増す。/悲しみが増す。

2011年7月12日火曜日

お楽しみにしています?

(誤) またお目にかかれるのをお楽しみにしています
(正) またお目にかかれるのを楽しみにしています

◇「楽しみ」の前に「お」をつけても、敬語になりません。
上の例でも全く悪くありませんが、敬語にする場合は次のようにしてください。

(正) またお目にかかれるのを楽しみにしております

2011年7月11日月曜日

上海に行かれました?

次の2つの文はいずれも自己紹介ですが、文法的に間違っています。どのように直したらいいでしょうか。


1 (私は)「前の会社では、5年間、海外営業をされました
2 (私は)「そのうち2年間、上海に行かれました



2011年7月8日金曜日

励ましていただいて・・・? 励ましてくださって・・・?

「いただく」と「くださる」

7月2日に次のような質問をいただいていました。
「はげましてくださるはげましていただく​どちらがいいでしょうか?区別はないのでしょうか。」

どちらも間違いではありませんし、大きな違いはありません。

しかし、あえて違いを言うと、「くださる」は、「ご苦労さま!」とねぎらっている感じがあります。(誰も気にしないくらい、ごくわずかです。)
相手を主語にして「くださる」を使うと、「私のためにそのことをしてくれて、ご苦労さま」という意味が出てきます。

感謝の気持ちを述べるときは「いただく」を使ったほうが良いでしょう。

2011年7月7日木曜日

充実な?

6月24日の記事にコメントをいただいていました。「する」をつけられる名詞とつけられない名詞。
それを判別するルールはないのですが、次のような原則があります。


ナ形容詞になる漢語には「する」はつけられません。
「する」がつく漢語はナ形容詞になりません。



(正)確実な  (誤)確実する → ナ形容詞に「する」はつかない。
(正)充実する (誤)充実な  →「する」がつけばナ形容詞にならない。

2011年7月6日水曜日

名刺が作る?

(誤) 名刺作る
(正) 名刺作る


◇ 助詞の「を」と「が」

「を」であるべきところに「が」を使ってしまうこの間違いは非常に多く、耳障りです。(本当に耳障りです!)

<人>が<もの>作る

<人>が、は省略されることが多く、その場合、「が」は現れません。

2011年7月5日火曜日

仕事を始まる?

(誤) 仕事を始まったら、朝寝坊はできない。
(正) 仕事を始めたら、朝寝坊はできない。

◇ 自動詞、他動詞

自動詞他動詞の区別で、もっとも多い誤用ベスト3が、
1 見つかる 見つける (6/21参照
2 つながる つなげる (6/30参照
3 始まる 始める

です。

何度でも反復練習しましょう。

2011年7月4日月曜日

人と接する仕事?

今回も面接の話題です。

面接で多くの方が、「人と接する仕事がしたいです」「人と接するのが好きです」と言います。日本語として間違ってはいませんが、何がしたいのか、意味は伝わっていないでしょう。
何と言い替えたらいいでしょうか。

2011年7月1日金曜日

取りいそぎ

メールで、「○○の資料を添付いたしました。ご参考までに。」のように、最後を「ご参考までに。」で結ぶ人がいますが、もし自分より立場が上の人に出すのであれば、この書き方だと少々敬意が足りません。


ご参考までに。」というのは、「ご参考までにお送りいたします。」という文章の一部だけを使った、いわば「省略形」です。省略形は同僚や後輩に対しては問題ありませんが、顧客など目上の方に対して使うと、相手を軽く見ているようで好ましくありません。

このほか、「取り急ぎ。」「どうぞお大事に。」「それではまた。」で結ばれているメールもよく見ます。省略形は後ろの文を考える手間が省けて便利なのですが、それぞれ、

取り急ぎお知らせいたします/ご報告いたします/お礼申し上げます。
どうぞお大事になさってください。
それではまたメールさせていただきます/ご連絡させていただきます。

というのが元々の文章です。目上の方に対しては後ろの文を省略せずに、最後まできちんと書きましょう。