2012年4月26日木曜日

「りょうこう」に行きます?

◇ 今日は発音の問題です。

Aさん: 台湾では日本語ができる人材のじゅうようがあるので・・
本人: (じゅうようって何だろう?「重要」かな?あっ、もしかして「需要」?)

Bさん: 今回、ある企業の社員寮の建築工事をじゅうちゅうできたんです。
日本人: (じゅうちゅう???建築の専門用語?あっ、「受注」のこと?)

Cさん: 大学時代、じゅうぎょうは一度も休みませんでした。
日本人: (じゅうぎょう?大学の話だから多分「授業」かな・・)

Dさん: ゴールデンウィークはりょうこうに行きます。
日本人: (りょうこう?ああ、「旅行」か・・)

◇ 「需要」「受注」「授業」「旅行」、この4つは出身地や母語に関係なく、上の例(赤字)のように、 
   誤った発音をする人が非常に多い言葉です。1拍目は長く伸ばしません。

(正しい発音)
「需要」 じゅよう
「受注」 じゅちゅう
「授業」 じゅぎょう
「旅行」 りょこう

2012年4月19日木曜日

何時にいらっしゃるつもりですか??

取引先での業務第1日目が終わり、帰り支度をしていたらEさんに次のように聞かれました。
「明日は何時にいらっしゃるつもりですか?

私は何だか怒られているような気がしました・・・。

Eさんはただ、「何時に来る予定ですか」と聞きたかっただけでした。
しかし、「~するつもりですか?」と聞かれると、「考えをはっきり説明して!」と、強く迫られているように感じます。


<解説>
「つもり」は、自分が心の中でしようと思っていること(計画)を、他人に打ち明ける時に使います。
(特に深刻なことでなくてもかまいません。)

(正)
・ ゴールデンウィークに、沖縄に行くつもりです。
・ 就職が決まったら引っ越すつもりです。

自分について話すときは問題ないのですが、他の人に向かって「~するつもりですか?」と聞くのは、「本当にそうなの?はっきり説明してよ」と、相手の心を無理に開けようとするのと同じことになります。相手を不快にさせてしまいます。

(誤) 明日は何時にいらっしゃるつもりですか?(=何時に来るのかちゃんと教えて!)
(正) 明日は何時にいらっしゃいますか?

(誤) お客様、空港にはどうやっていらっしゃるつもりですか?(=何で行くのかちゃんと教えて!)
(正) お客様、空港にはどうやっていらっしゃいますか?


◇ 「つもり」を相手への質問に使わないでください。

2012年4月12日木曜日

準備してしまいました?

上司  : Sさん、金曜日のプレゼンの資料は大丈夫?
Sさん : はい。もう準備してしまいました

◇ Sさんは「終わった」ということを伝えたくてこのように言ったのですが、少し偉そうに聞こえます。なぜでしょうか。


<解説>
「~てしまいました」には、二つの用法があります。

① 「後悔」「反省」「失敗」の気持ちを表す用法
(例)
・ 会議に遅刻してしまいました
・ ワイングラスを割ってしまいました

② 「完了した(=完全に終わった)」ことを強調する用法
(例)
・ 午後来客予定があるので、午前中に用事を済ませてしまいました
・ 時間があったので、使わない資料を全部ファイリングしてしまいました

②の「~てしまいました」は、「やり尽くした」という意味です。「完全に・徹底的に」という気持ちが含まれます。Sさんのように上司への報告に使うと、「私、がんばりました!」と過剰にアピールしているように聞こえるのです。

また、①の「失敗」の意味に誤解される可能性もあります。


◇ 仕事完了の報告には、「~てしまいました」は使わないようにしましょう
(例1)
上司 : あさってのプレゼンの資料、できてる?
部下 : はい。準備してあります。

(例2)
上司 : 値札の確認は終わった?
部下 : はい。終わりました。はい。全部確認してあります。

2012年4月5日木曜日

さんざん・・?

佐藤さんは先日、Bさんの紹介で、Cさんに会いました。

佐藤さん : どうもはじめまして、佐藤です。
Cさん   : はじめまして。Cです。佐藤さんのことはBさんからさんざんうかがっております。
佐藤さん : ??


<問題>
Cさんの「さんざん(散々)」の使い方は不適切です。
どのように言えばいいでしょうか。



<解説と答え>
Cさんは「よく」「何度も」という意味で「さんざん」を使ったようですが、この場合は不適切です。
「さんざん」は「ものすごく」という意味で、程度の激しさを表しますが、「不快な気持ち」「うんざりした気持ち」の時に使う副詞です。

(例)
・遅刻のことで、部長にさんざん叱られた。
・取引先から、さんざん文句を言われた。
・同僚と飲みに行って、さんざん会社の愚痴を聞かされた。

つまり、冒頭のCさんの言葉は、「あなたについて何度も聞かされてうるさかった」と言っていることになるわけです。言われた人はもちろん驚きます。
「あなたのことは以前からよく聞いています」と言いたい場合は、「かねがね」という副詞を使います。

(例)
佐藤さん: どうも、はじめまして。佐藤です。今日はお忙しいところ本当にありがとうございます。
Cさん  : はじめまして、Cです。佐藤さんのことはBさんからかねがねうかがっております。今日は
        おにかかれて嬉しいです。
佐藤さん: いえいえこちらこそ、どうぞよろしくお願いします。

◇ 副詞には、ネガティブな意味を持つものがあるので、注意が必要です。