2012年8月23日木曜日

経験をしました?

ある企業のインターンシップに参加した方(Mさん)に感想を聞いたところ、次のような返事が返ってきました。

私: 日本の会社で実際に働いてみて、どうでしたか。
Mさん: はい、とてもいい経験をしました


赤字の部分について考えてみましょう。
Mさんの言い方は、単に「経験をした」という事実を述べているだけです。
質問は「経験した結果」がどうなのか聞いているので、「とてもいい経験になりました」という言い方のほうが自然で適切です。

◇ 「いい経験になりました」という言い方には「その経験が身になった」という結果に加え、感謝の気持ちも含まれています。
(例)
A : この間は会議の通訳をありがとう。急にお願いしてごめんね。
: いいえ、緊張しましたがすごくいい経験になりました

◇ 状況によっては「勉強になりました」という言い方でもいいでしょう。
(例)
A : 昨日の研修に参加してみて、どうでしたか。
 : はい、とてもいい勉強になりました

2012年8月16日木曜日

食欲が下がる?

(誤) どんなに暑くても、食欲が下がったことはありません。
(正) どんなに暑くても、食欲が落ちたことはありません。


◇ 食欲のマイナスの変化については、「食欲が落ちる」と言います。

(正) 暑いせいか、子どもの食欲がちているようで心配です。
(正) 暑さで食欲がちているからといって、冷たい物ばかり食べるのは良くない。
(正) 入院して以来、食欲が落ちてやせてしまった。

◇ 漢語だと、次のような言い方があります。固い言い方です。医学の講義などではこちらがよく使われます。

(正) 食欲が低下する。
(正) 食欲が減退する。

2012年8月9日木曜日

コーヒー三つをください?

時折耳にする間違いなので、念のため確認します。

(誤) コーヒー三つください。
(正) コーヒー三つください。

◇ 何かを注文する時、「(品物)++(数詞)ください」のように、助詞「を」は品物の後に付けます。数詞の後には付けません。

(正) カフェラテのショート二つください。
(正) グラス二つお願いします。

◇ 会話では、この「を」は省略されることが多いのですが、正しい位置は覚えておきましょう。

(例)
・ アイスコーヒー三つお願いします。    (=アイスコーヒー三つお願いします)
・ オレンジジュースとアイスティーください。(=オレンジジュースとアイスティーください)

2012年8月2日木曜日

違っています vs 違っているようなんですが・・・

◇ 目上の方のミスや勘違いを指摘する時は、角(かど)を立てないように、特に慎重に言い方を選ぶ必要があります。

<状況>
Gさんは、先輩が作成した見積書の数字に間違いがあることに気づきました。
念のため何度も見直しましたが、絶対に間違っています。Gさんは先輩に次のように言いました。

「すみません、あの、ここの数字が少し違っているようなんですが・・・」

<質問>
この「~ようなんですが」という言い方は適切でしょうか。

<解答>
この場合は適切です。

(適切な理由①)
明らかに相手のミスだという確信がある場合でも、目上の方や顧客に間違いを指摘する場合は「~ようなんですが・・・」と遠回しな言い方で伝えます。「ここの数字、違っています」「違っていませんか」のようにストレートな言い方だと、相手のプライドを傷つける可能性があるためです。

(適切な理由②)
また、「~ようなんですが・・・」には「ひょっとしたら私の勘違いかもしれませんが、確認してみていただけますか」という謙虚さが含まれていて、相手にも伝わります。結果的に、あなたの指摘は受け入れてもらいやすくなります。

(その他の例文)
・ そちらからのFAXがまだ届いていないようなんですが・・・
・ 資料が一部、足りないようなんですが・・・
・ コピーが1ページ、抜けているようなんですが・・・
・ (電話で)御社のY様と3時にお約束している者ですが、まだお見えになっていないようなんですが・・・

2012年7月26日木曜日

主婦? 主婦の方?

日本で中国語教室を経営しているUさんという方が、地元のケーブルTV局のインタビューを受けていました。

TV局の人: Uさんの教室に来る生徒さんは、どんな人たちなんですか。
Uさん: そうですねー、昼間は近所の主婦が多いですが、夜は会社員が中心ですね。

赤字の部分について考えてみましょう。
この場合の「主婦」「会社員」はUさんにとって、教室に来てくれる顧客にあたります。
下の例のように「~の方(かた)」を付けて、「主婦の方(かた)」「会社員の方(かた)」と言ったほうが丁寧で、顧客として大事に思っている様子が伝わります。

(例)
「そうですねー、昼間は近所の主婦の方が多いですが、夜は会社員の方が中心ですね。」

◇ 顧客に言及する際、職業や国籍の後ろに「~の方(かた)」を付けることで丁寧になり、大切に思う心が聞いている人に伝わります。

(例)
日本人 ⇒ 日本の方/日本人の方
中国人 ⇒ 中国の方/中国人の方
エンジニア ⇒ エンジニアの方

(例文)
・ いろいろな国からのお客様に、この旅館を利用していただいていますが、最近は中国の方が非常に増えまして、中国語に対応できるスタッフの必要性を感じております。
・ このレストランは、仕事でお世話になっているカメラマンの方が教えてくれたんですよ。料理もおいしいですが雰囲気もいいので、撮影でも利用するそうです。

2012年7月19日木曜日

印象を感じました?

(誤) 初めてAさんに会って、とても明るい人だという印象を感じました
(正) 初めてAさんに会って、とても明るい人だという印象を受けました
(正)                〃                持ちました。              
(正)                〃                抱きました(いだきました)。            

◇ 「印象を感じる」という言い方はせず、「受ける」か「持つ」か「抱く」を使います。
◇ また、上の文のように、心で感じたことについて話す時は、「抱く」は「いだく」と読みます。
(例)
・ 病院で生まれたばかりの我が子を抱いた(だいた)
・ 会社の方針に疑問を抱く(いだく)

2012年7月12日木曜日

遅れって申し訳ありませんでした?

ある人からもらったメールに、

「返事が遅れって申し訳ありませんでした。」

と書いてありました。
上級者ともなると、「て形」の間違いはほとんど見られなくなりますが、唯一、「っ」の要らないところに「っ」を入れてしまう間違いは時々見られます。

(誤) 遅れって
(正) 遅れて

これを書いた人は、会話でも「遅れって」と発音している可能性があります。
会話だと一瞬なので、気づかれずに済むかもしれませんが、文字の場合は非常に目立ちます。

他に、同じパターンの間違いとして、以下のものがあります。
(誤) 教えって   (正) 教えて
(誤) 覚えって   (正) 覚えて

うっかり書き間違えた、というケースもあると思いますが、単純な間違いであればあるほど、読んだ人は「まさか??と感じます。注意しましょう。